10月9日に公開された芦田愛菜ちゃん主演の映画「星の子」
タイトルと表紙を見ただけでは「宗教がらみ」の物語だとは思わず。。
冒頭部分で体が弱い子どもの物語なのかと思ったら、実は主人公ちひろの両親が宗教にどっぷりハマっていくといった物語です。
ページ数は256ページ。
とても読みやすい文章なので、読むのが早い人だと簡単に読み終えると思います。
ちなみに私は、宗教を信じるのは自由だけど、勧誘とかしないでってタイプです。
物語の最後に決起集会のような場面があり、
目標として10人入会させますって言葉が出てきます。最後の最後で嫌気が増します。。
「星の子」:宗教ってホントにイヤだと感じる
宗教=家族崩壊?
主人公ちひろには5歳年上のお姉ちゃん、「まーちゃん」がいます。
両親が宗教にハマっていく様子を見ています。
親がお水や食材を宗教団体から買うようになったり、おかしな行動をしている様子に限界がきて
高校生の時に家出をします。
ちひろの両親は、仕事も宗教関係者から紹介された会社に変わり、住むところも引っ越すたびに小さい家になってゆくほど貧乏になります。
ちひろの修学旅行の費用は雄三おじさんがこっそり用意してくれたから参加できました。
宗教にはまると幸せ?
ちひろと両親は、子どもが家出していようが、修学旅行に行くお金がなかろうが、家がどんどん小さくなっていこうが、宗教にハマっていて周りが見えません。
ある意味幸せですよね。2人の世界に入っているのですから。
貧乏で着る服が緑のジャージしかなく、今が一番幸せなんだと思います。
でも、夫婦のうちどちらかだけが宗教にハマってたら、家庭崩壊も想像できるかも。
「星の子」:宗教あるあるがいっぱい盛り込んである
「星の子」を読んでいると「宗教あるあるが思い当たる」事柄がたくさん盛り込まれています。
- 支部の事
- 研修
- 同じ宗教の人や友達との会話
- 宗教に入っていない人からの視線
宗教に入ったことがある人なら「共感ポイント」ではないでしょうか。
宗教を全く知らない人からすると、「へ~、宗教ってそうなんだ」と感じるところです。
研修旅行などは宗教組織の大きさによっても違うかもしれませんが、総本山的なところに集まるってありますよね。
親が宗教に一生懸命であれば、子どもは研修などの集まりに一度は連れていかれると思います。
「星の子」:宗教の洗脳は解けない
雄三おじさん「金星のめぐみ」取り替え事件
雄三おじさんとは、ちひろのお母さんの弟です。
お母さん達が宗教にハマる前は仲が良かったんです。
すっかり変な宗教にハマってしまった姉夫婦の目を覚まし、子ども達がまともな生活を送れるように、雄三おじさんは金星のめぐみの中身を公園の水道水に取り替えます。
まとめ買いしている段ボール箱全部。
いつもちひろの家に行っては、宗教に対して反対していた雄三おじさんは、2か月ぐらい何も言うことなく、ちひろの両親の言うことに耳を傾けています。
おじさんの変化にすっかり気をよくしたお父さんたちが、雄三おじさんに金星のめぐみの良さを説いていた時のこと、
雄三おじさんは、「その水は金星のめぐみじゃないよ。公園の水と取り替えたよ」と告げます。
「君たちは2か月間ずっと気づかずにただの水道水を飲んでたんだ。」
これで姉夫婦の目が覚めると思っていた雄三おじさんでしたが、残念ながら両親の目が覚めることなく、雄三おじさんとの関係がこじれただけでした。
ちひろは宗教を信じているのか
赤ちゃんの頃から親が宗教にハマっている姿を見ているちひろは、その状況が普通でした。
どんどん大きくなって中学生になった頃、自分の家はみんなとは少し違うんだということに気づきます。
友達からも「お水を騙されて買わされているんじゃないか」と言われますがちひろは否定します。
実際に、赤ちゃんの頃の病気が治っているし、体調を崩した時には金星のめぐみを含ませたタオルを頭に乗せて治してきたわけです。
友達に「ちひろは、宗教を信じてるの?」と聞かれますが、わからないと答えます。
両親がおかしな行動をしていても、宗教のせいで貧乏でも、小さい頃からずっとなのでその状況が当たり前になっているのです。
「星の子」原作の内容と映画の比較について
星の子の原作と映画を比較してどう感じるのか?
原作を裏切らない仕上がりになっている! そう思うところを紹介します。
「星の子」原作と映画:主人公ちひろは芦田愛菜ちゃんでピッタリ
芦田愛菜ちゃんがインタビューで、「ちひろ」をイメージして髪を切りました。と、言ってました。
私も、ちひろと愛菜ちゃんの雰囲気はピッタリ一致していると思います。
原作を読んだとき、ちひろのような家庭環境の子って本当に気の毒だなと思いました。
映画になると、映像がある分余計に気の毒さが大きくなります。
ちひろのキビシイ家庭環境を芦田愛菜ちゃんがキッチリ雰囲気出しています。
「星の子」原作と映画:両親の宗教のハマり具合が一致
ちひろの両親の宗教のハマり具合。
原作に忠実に、ちゃんと緑のジャージを着ていますよね。
永瀬正敏が、原田知世が緑のジャージ・・
ちゃんとタオルも頭に乗せているしね。
優しいお父さん、優しいお母さんなのに、宗教にハマりすぎて残念って思えるぐらい忠実に再現されていると思います。
「星の子」原作と映画:イケメン教師が厳しすぎる
ちひろが憧れる新任の南先生は体育の先生かってぐらい爽やかです。
南先生が和製エドワード・ファーロングってことで、イケメンぶりなところもちひろが面食いなのも同じ。
ちひろが宗教に関係があるとわかると態度が一変します。
南先生が、宗教に対して何かあったのか?ってぐらいちひろに厳しい。
厳しすぎる点も原作と同じ。
南先生の厳しさについては、愛菜ちゃんもインタビューで「辛かったです」って言ってましたね。
逆にちひろの両親にモノ申してくれればよかったのに。
「星の子」の結末:結論がでないまま終わる
家族は微妙な関係性になってしまったようです。
雄三おじさんや親戚との関係は切れたまま
物語の最後になっても雄三おじさんと両親の関係は切れたままです。
おばあちゃんの法事の案内がちひろ宛に届きますが、お母さんたちには届きません。
雄三おじさんは、ちひろやまーちゃん(ちひろの姉)が心配なのです。
高校生になったら、雄三おじさんちに来ないか?と誘います。
両親と距離を置いて、まともな生活をさせてやりたいと思っています。
雄三おじさんの誘いに対しての答えを示さないまま結末を迎えます。
まーちゃん家出したまま
ちひろのお姉ちゃん「まーちゃん」は高校生になった頃に家出したままです。
家出する時に「バイバイ。もう帰らない」と、買い置きして家を出てから一度も物語に出てきません。
*雄三おじさんの金星のめぐみの中身を水道水に入れ替える時、手伝ったのはまーちゃんです。
まーちゃんは宗教にハマっている両親をなんとかしたくて、雄三おじさんに助けを求めたのでした。
ひろゆきくんが「話せない」のは継続中
ひろゆきくんと言うのは、ちひろの両親に金星のめぐみを紹介した落合さんの息子です。
ひろゆきくんは本当は話すことが出来るのに、親の前で喋らなくなり、落合さん夫婦はひろゆきくんが何かの病気で声が出なくなったと思っています。
ひろゆきくんも親が宗教にハマっているのがイヤなようです。
物語の最後の方で、ひろゆきくんが再登場しますが、いまだに声が出なくなったフリをしています。
きっと両親はひろゆきくんが話せることも知っていて、ひろゆきくんも親にバレているのはわかっているだろうとのこと。
「星の子」感想:同じ空を見ていても見えるものは違う
ちひろのように小さい頃から親が宗教にハマっていて、宗教活動を一緒にしている子どもの立場が描かれた内容になっています。
- まーちゃんのように反対を貫き家出をする子
- ちひろのように宗教が生活の一部になっている子
- ひろゆきくんのように、親と喋らなくなってしまう子
親の宗教に対する意思表示の方法が一人一人違います。
私は物語を読んでいて全くスッキリした気分にはなれませんでした。
最後の結末で、ちひろが雄三おじさんの家に行くとか、洗脳から解けるとか、宗教から解放されるとスッキリしたかもしれません。
最後の宗教の研修旅行で、親子三人で星空を眺めて流れ星を見る場面では、ちひろと両親では同じ空を見ているのに、見えてる星が違っていました。
洗脳されている人とそうでない人の世界は違うってことを表したのでしょうか。
「星の子」まとめ
- 「星の子」は宗教にハマっている両親がいる子どもからの目線の物語です
- きっかけは子ども病気を治すためでも、両親が宗教にハマってしまい洗脳状態から抜け出せない
- 両親が宗教にハマったせいでお姉ちゃんは家出をし、家庭は貧乏になってしまう
- 星の子の結末は、どの問題に対しても明確な答えが描かれていない
- 同じものを見ていても、見え方は人によって違う
「星の子」は宗教を知っている人、知らない人によって感じ方も違う物語だと思います。
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