天堂晋助著「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」を紹介します。
著者の都市伝説シリーズの3作目になります。
あまり世には出ていないレアな作品は、1作目が46篇、2作目が63篇、3作目が59篇。
これだけの物語の元ネタは通りすがりの女子高生なんですよね。
「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」の内容や感想についてまとめました。
- 埼玉県出身
- 安原顯氏の創設した創作学校で小説を学び、創作学校にて優秀賞受賞
- 2002年の作品「秦始皇帝と暗殺者」は日本図書館協会選定図書
- 都市伝説以外に歴史小説や恋愛小説など幅広いジャンルを手掛けている
- 誰もが楽しめる小説、歴史に興味がなくても読みやすい小説を目標に執筆活動中
天堂晋助著「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」とは?
都市伝説シリーズの3作目は59ものお話が掲載されています。
この都市伝説シリーズ、kindle化するにあたり再編集されています。発売当初はかなり反響があり多くの方に読まれたようですよ^^
「面白い話」が集められている
天堂晋助氏の都市伝説シリーズは、通りすがりの女子高生にインタビューして集められた都市伝説です。
一体どれだけの期間、どれだけの人数にインタビューされたのだろう?
かなり根気がいる作業だったと想像するのは、インタビューした話すべてが採用されてるわけではないだろうから。
著者が追求したのは「面白い話」とのこと。
「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」には怖い話はもちろんありますが、ちょっと吹き出してしまうような「笑的要素」が多い作品です。
文学作品として堪能できる!
都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話、他の都市伝説集や怪談集と少し違っているのは、一つ一つの怪談が物語のようになっていること。
女子高生のインタビューで集めたものをそのまま載せると、おそらくほんの数行で終わると思われます。
私が知ってる怪談でも書き出すと2行ほどで終わってしまう。
それをショートショート風に仕上げ、読者に笑いや怖さを提供している時点で文学作品になっているのです。
この作品は、あらゆる意味で「面白い」を追求した都市伝説ですので、楽しい時間を満喫できるのではないかと思います。
読者へのエールも
実は都市伝説百物語: 君のとなりの怪しい話シリーズには、隠された「著者からのメッセージ」があります。
ネタバレになりますが、3巻のラスト「いじめに負けるな」は著者からいじめに苦しんでる子へのメッセージ。
「がんばり続ければ必ず日は差す」
この「日が差す」について改めて調べてみると、雲量が9割以上で青空が見える状態とのこと。
日が差し始めたら9割を8割に、8割を7割に・・・希望を捨てずに心の拠りどころになれるような愛ある怪談です。
表紙イラストについて
この都市伝説集、ずっと気になっていたのが表紙のデザイン。
静かなインパクトがあるというか、ちょっと気になって見入ってしまいますね。
表紙デザインは岡田敏幸さんで著者の友人とのことで、都市伝説シリーズとあばれ猫シリーズのイラストを手掛けられました。
実は岡田敏幸さんの本業は木工で、無垢の木を使った工房ムクリを運営されています。
普段絵は描かない方なのだとか。
バランスも良くて独特の雰囲気があるので、てっきりイラスト専門の方が描かれたのだと思いました。
岡田敏行さんサイトのURLも書籍内に書かれていますので、興味のある方は是非みてくださいね!
目次
何かがリュックをつかむ | 行ってはいけない橋 | 手首の人 | 二宮金次郎が驚いた | 人面パン |
ツッコむ幽霊 | 赤い服の女が寝ている | 江戸のフランケンシュタイン | ホラーハウス | 私をスキーに連れてって |
テレビを最後まで見ると | 憑いてくる体質 | 天井から落ちる血 | 走るマラソン人 | 宇宙人、キャンプ場にあらわる |
ディーバ | 「タッチ」をなぞった双子 | コンビニにいる男 | キツネが時計を欲しがる | ドイツのハリネズミ |
ゾンビな彼氏 | デスメタル | カッパがサウナで働いている | 真夜中の電話ボックス | 交差点にて |
ホスピスにいる猫 | オフ会 | 天使のいたずら | エレベーターにやってくる | 闇を飛ぶ面 |
口裂け女騒動 | 隣の騒音 | とんでもないワル | ピンクのトイレ | L君の出したエクトプラズム |
誰かがページをめくる | Sトンネル | 電車で暴れる巴御前 | 死んでいるのは | ジャンピングばばあ |
水面に映る人 | 幽体離脱 | そいつは俺じゃねえ | 上京してきた彼女の両親 | 歩く影たち |
ピラザウルス | ムジナ | ザ・都市伝説 | 保健室にて | 現れた幼なじみ |
猿人伝説 | 高層ビルにいる吸血鬼 | 狼男がいる | ゴミ箱 | 売店のおばさんは妖怪 |
幽霊の男を好きになってしまった | 卒業アルバム | 受け継ぐ者 | いじめに負けるな |

気になったタイトルから読んでくださいね!
書籍概要
恐怖と笑いのエンターティメント劇場第三幕。都市伝説百物語シリーズ第3巻
「戦中から戦後にかけて「血」が高く売れた。
お金を得るために売血(ばいけつ)を繰(く)り返(かえ)す人たちもいた。その血液は「黄色い血」と呼ばれた」(天井から落ちる血)
「マナミはゾンビの存在を信じる。
マナミの彼氏がゾンビだったからだ。
ある夜、彼はマナミにいった。
『そうめん大会に優勝して、君に結婚を申し込む』」(ゾンビな彼氏)
「『あそこであそこで水質(すいしつ)検査(けんさ)をしている奴、あいつカッパだぜ』
WはVの指さす方を見てみた。先程、青鬼役をやっていた青年だ。Wは笑いながらいった。
『なんでそんなことを知っているんだよ』
『聞いたんだよ。本人から。いや、カッパから』
『そうは見えないなあ』
『サウナは、奴らにとって良い職場のようだ。何しろ湿気(しっけ)が多いからな。雇(やと)う方も、カッパがよく働くことを知っている』」(カッパがサウナで働いている)
恐怖と笑いの交差点。どこを切っても楽しい本のテーマパーク。
飛びっ切り怖かったり、思いっきりアホらしかったりする都市伝集。涙なしには読めない話も。
これを読んであなたも、クラスや職場の人気者になろう。
- 著者:天堂晋助
- 本の長さ:178ページ
- kindle価格:480円(税込み)
- ペーパーバック:1210円(税込み)
- 発売日:2023年10月5日
「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」の感想
都市伝説百物語: 君のとなりの怪しい話の第3巻、いつの間にか物語として読んでいました。
レアな話と創造のコラボ
天堂晋助氏の都市伝説シリーズは、女子高生へインタビューして集めた話をまとめたものですが、それらに背景をつけてショートショート風に仕上げられています。
3巻はシリーズの中でも特に物語風になっている感じがして、今まで以上に想像が膨らみました。
淡々と語り継がれる伝説も良いですが、想像が膨らむ物語も良いですね!
女子高生と著者のコラボ作品という感じでしょうか。
数が多くて楽しめた!
都市伝説ってこんなに多いんだ!というのが率直な感想。
私が知ってる都市伝説や不思議な話なんてほんの数話程度。
それが「都市伝説百物語: 君のとなりの怪しい話」はシリーズ全部で168もの話がありました。
しかも世の中にはあまり出ていないレアな話ですし、口裂け女系に関しても口承ならではの地域によって少し違ってるところもあり、楽しんで読むことができました!
関連書籍

著者の都市伝説シリーズは全部で3巻ありますが、その他にも歴史小説や恋愛小説など幅広いジャンルの小説があります。
- 西郷暗殺
- 悪鬼羅刹
- 奇兵隊戦記
- 家康暗殺
- 象の国の侍
上記のほか、都市伝説シリーズを手掛けるきっかけになったことが書かれている「ユカ」もおすすめです。
まとめ:天堂晋助著「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」を紹介!内容や感想についても
天堂晋助著「都市伝説百物語3: 君のとなりの怪しい話」を紹介しました。
著者が直接女子高生にインタビューして集めた都市伝説シリーズの最終巻でした。
レアな話が集まっているのが特徴で、それらに背景を付け足し文学作品に仕上がっています。
そして怖い話だけでなく、著者が「面白い話」と思った話が集まっていますので、一般的な都市伝説や怪談とは少し違うな?と感じるかもしれません。
怖い話だけでなく、笑える要素を含んだ話もありますので、読み終えたあと沈んだ気分になることはなかったですね。
天堂晋助著「都市伝説百物語: 君のとなりの怪しい話」、3シリーズともAmazonで発売中です!
まずはサンプルページだけでも読んでみてくださいね!
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