2018年ごろから副業が解禁になってから、自由な働き方を選択する人が増えてきました。
なかでもWEBを活用する副業が人気ですが、果たして期待しているほど稼げるものなのか。
今回は副業でWEB制作を選択したとき、本当に稼げるのかについて現実と可能性について検証してみました。
Web制作は独学で習得できるのか？
副業としてWeb制作を目指す際、最初に気になるのが「独学でも通用するのか？」という点です。
結論から言えば、現在は独学でもWeb制作スキルを身につけることは十分可能。
特に近年は、学習環境の充実とAIツールの普及によって、学びのハードルが大幅に下がっているようです。
オンライン教材や動画講座、学習アプリの発達により、未経験者でも基礎から順を追って理解できる環境が整っています。
ChatGPTなどの生成AIを活用すれば、コードの添削やエラー解決もスムーズに行え、1日2〜3時間の学習を継続すれば、半年以内に基礎力は十分に身につくとのこと。
とはいえ、効率よく学習を進めるには自分のゴールを明確にし、学習計画を立てることが欠かせません。
独学は自由度が高い分、自己管理能力も問われ学びが継続できるかは本人の努力が必要になります。
HTMLやCSSは初心者でも学べるスキルなのか
Web制作の入口となるのがHTMLとCSS。
これらはJavaScriptやPHPなどのプログラミング言語とは異なり、「マークアップ言語」と呼ばれる分類に入ります。
つまり、構文がシンプルで、初心者でも比較的短期間で習得できるのが特徴です。
特にHTMLは、文章構造を組み立てるための基本スキルであり、タグの役割を理解すればすぐに簡単なWebページが作れるようになるのだとか。
CSSも同様に、文字の色や大きさやレイアウトを調整するためのルールを学べば、デザインの幅が広がります。
さらに、最近ではAIによるコード自動生成ツールやノーコードツールも登場しており、初学者でも視覚的に学べるサポート環境が整ってきているようです。
とはいえ、実務に対応するには「見た目ができる」だけでなく、コードの構造を理解し、修正や保守ができる力が求められるため、表面的な知識だけでは不十分です。
案件を獲得するための現実的な方法とは？
Web制作の技術を身につけても、それだけでは副業として収入に結びつきませんよね。
最大のハードルは「どうやって案件を獲得するか」という問題です。
これは士業などの専門職にも共通する課題であり、資格を取っただけでは顧客は自然に集まらないのと同様に、Web制作者も自ら営業しなければ仕事は得られないのです。
例えば、行政書士や税理士の資格を取得しても、看板を掲げただけでは顧客は来ません。
地道な営業や人脈構築、信頼の積み重ねが不可欠です。
Web制作でもそれは同じで、ポートフォリオサイトを作ったりSNSを活用したりして、能動的に自身を売り込む努力が必要。
つまり、スキルよりも「営業力」や「提案力」こそが最初の壁を突破するカギになるのです。
制作スキルがあっても、それを必要としている相手に届かなければ意味がないということですね。
士業と共通する「営業力」が鍵を握る理由
Web制作の副業で見落とされがちなのが、クライアントとの交渉・提案・折衝といった「営業・ディレクションスキル」の重要性です。
制作会社のデザイナー経験しかない人の中には、「制作物を作ること＝仕事」と誤解しているケースも多いのではないでしょうか。
ところが実際には、副業の場合、自分自身が営業マンであり、ディレクターであり、制作者。
どのような課題を抱えているか、どんな提案をすべきか、予算や納期の調整などもすべて自ら行う必要があります。
お客さまと直接コミュニケーションを取り、信頼を得ながら進めていくためには、ヒアリング力や説明力、柔軟な対応力が問われます。
また、商談や打ち合わせの場では、単なる制作知識だけでなく、ビジネス視点での提案や課題解決力が求められるため、制作者としてだけではなく、“ビジネスパーソン”としての総合力が問われるのが副業Web制作者の特徴になります。
Webデザイナーに求められる本当のスキルとは？
副業としてWebデザイナーを目指す際、見落とされがちなのが「求められるスキルの幅広さ」。
ただ美しいデザインを作れるだけでは、仕事として成立しにくいのが現実です。
実務では、クライアントとのやり取り、要件定義、スケジュール管理など多岐にわたる業務が発生します。
副業では一人で全てを担うことになるため、オールラウンドな対応力が求められるのです。
制作会社であれば営業やディレクターが分業で動くため、デザイナーは制作に専念できますが、副業となると、自身がディレクターでもあり、時に営業でもあるという前提で仕事を進めなければなりません。
そのため、単なるスキルだけでなく、「仕事として完結できる能力」＝ビジネス的視点と自己管理能力も非常に重要になります。
デザインだけではなく営業力と折衝力が必要
Web制作の副業で多くの人が誤解しているのが、「制作ができればそれで十分」という認識です。
確かに美しいデザインや整ったコードは必要条件ではありますが、それだけで継続的に案件を受注することは難しいのが現実。
特に、副業として始める場合は、顧客との折衝、仕様調整、納期交渉、費用提示といった“人とのやり取り”のスキルが仕事の質と量を左右します。
こうしたやり取りをうまくこなせなければ、リピートや紹介は生まれにくく、収入が安定しないのです。
また、言葉の選び方や説明力によって、クライアントの信頼感が変わってきて「わかりやすく伝える力」や「誠実な対応」も、実はデザイン力と同じくらい大事なスキルなのです。
単なる制作知識では仕事は取れない理由
Web制作と聞くと、デザインやHTML/CSSのコーディングに注目しがちですが、実際に案件を獲得し、納品までこなすにはそれ以上の知識が必要です。
クライアントの多くは「Webのことはよく分からない」という状態で依頼してくるため、制作者側が一貫して環境構築から公開までをサポートしなければならないケースが多い。
その際に求められるのが、サーバーやドメインの設定、DNSに関する基礎知識です。
たとえば、サイトの公開に必要なネームサーバーの設定やSSL対応、メールの設定など、細かな技術サポートも任される場面は少なくありません。
また、公開しただけで終わりではなく、「どうやってアクセスを集めるか」という点でも制作者は提案を求められます。
つまり、SEO（検索エンジン最適化）の基本的な考え方を理解していないと、クライアントに信頼されにくいということです。
サーバー・ドメイン・SEOの基本知識も不可欠
具体的に求められる補足スキルとしては、以下のような項目があります。
- サーバー管理パネル（例：ConoHa、Xserver）の操作
- ドメイン取得とDNS設定（例：Aレコード、CNAMEレコードの知識）
- SSL証明書の導入と更新管理
- WordPressの初期設定やセキュリティ対策
- 基本的なSEO対策（タイトル設計、メタディスクリプション、内部リンク）
これらは専門外と思われがちですが、副業で一人で案件を回す場合、すべて自分の責任範囲になります。
むしろ、こうした周辺知識を持っているかどうかが、「信頼されるWeb制作者」として選ばれるかどうかを大きく左右します。
つまり、副業で安定して稼ぐためには、「制作」だけではなく、“運用・集客・技術支援”もできるスモールビジネス的視点が重要となります。
難易度別に見るWeb制作の案件獲得手段
Web制作を副業にする際、最大の難関ともいえるのが「案件獲得」です。
スキルを習得したとしても、収入を得るには具体的な依頼を受け、納品し、報酬を得るという流れを確立する必要があります。
案件の獲得方法にはいくつかのパターンがあり、それぞれに難易度や必要スキル、工数、競争率が異なります。
中には始めやすい方法もありますが、実際のところ稼げるかどうかは別問題。
ここでは、よく利用される方法を難易度別に分類し、それぞれの特徴と注意点を整理していきます。
副業初心者は「楽に稼げる」イメージを持ちやすいですが、現実は甘くないです。
その中でも最もハードルが低く、誰でも始められる方法がクラウドソーシングの活用です。
クラウドソーシングのメリットと限界
クラウドソーシング（例：ランサーズ、クラウドワークス、ココナラ）は、副業初心者にとって最も手軽に案件へ応募できる手段。
プロフィールを作成し、案件に提案文を送るだけで応募が完了するため、手続き面でも参入しやすいです。
ですが、実際には1件の案件に対して30人以上が応募するのも当たり前で、競争が非常に激しいのが現状。
特に報酬が高い案件ほど応募者のスキルレベルも高く、経験豊富なフリーランサーが集中する傾向があります。
また、プラットフォーム上には極端に単価の低い案件も多数存在し、「時給換算で数百円」という状況になりやすいです。
信頼を得て実績を積むには時間がかかり、初期段階で心が折れてしまう人も多いのです。
それでも、最初の一歩を踏み出す場としては有効であり、提案力の強化や実績作りの場として割り切るなら活用価値はあります。
ただし、本格的に稼ぐには、他の手段との併用やステップアップが必要になります。
集客を目的とした自作ホームページの効果
案件獲得の方法として、自分でポートフォリオサイトや営業用のホームページを制作し、直接クライアントとつながるという手法もあります。
中間マージンをカットできる点や、自分のブランドを確立できるという意味では理想的な方法に見えますね。
ですが、現実にはこの方法で安定的に集客するのは非常に難しいのです。
なぜなら、ホームページをただ作っただけでは誰にも見てもらえず、アクセスを集める仕組み＝集客導線を設計しなければならないから。
しかも、副業Web制作者が立ち上げるサイトは、SEO（検索エンジン最適化）に精通したプロの制作会社やフリーランスと直接競合することになり、同じ検索キーワードで上位表示されなければ、存在していないも同然です。
そのため、自作ホームページでの集客を目指す場合は、戦略的にSEOを学び、継続的に改善する意識と根気が不可欠になります。
SEOの知識がなければアクセスは集まらない
SEOとは、Googleなどの検索エンジンで自分のサイトを上位に表示させるための施策全般を指します。
見た目が美しいサイトでも、検索順位が低ければ集客は見込めません。
だからこそ、検索ニーズを理解し、コンテンツを最適化する知識が必要になるのです。
具体的には以下のような要素が基本となります。
- キーワード選定とタイトル・見出し構造の最適化
- モバイル対応（レスポンシブデザイン）
- ページ読み込み速度の高速化
- 内部リンクと構造化データの整理
- 定期的なコンテンツ更新とブログ運用
これらを踏まえて対策を行っても、上位表示には数ヶ月から1年以上かかることもあり、副業として始めた場合、そこまでの投資時間や継続力を保つのは簡単ではありません。
したがって、「ホームページでの直接集客」は、成功すれば効果的ですが、最初の方法としてはハードルが高く、時間と労力を要する長期戦略であると理解しておくとよいでしょう。
求人サイトで業務委託案件を狙う戦略
クラウドソーシングや自作サイトによる集客に限界を感じた人の中には、求人サイトで業務委託のWebデザイナー募集に応募するという手法に目を向けるケースも多いのではないでしょうか。。
IndeedやWantedly、Greenなどの求人プラットフォームでは、制作会社や広告代理店がリモートの業務委託パートナーを探していることがあります。
この方法のメリットは、比較的まとまった案件や継続案件に出会いやすく、収入の安定性が高い点です。
また、企業が出している案件であるため、単価もクラウドソーシングより高めの傾向。
ただし、誰でも簡単に参入できるわけではなく、特に実務経験が乏しい未経験者にとっては、採用のハードルが非常に高い！
企業側は即戦力を求めるため、教育コストをかけたくないのが本音なのでしょう。
未経験からプロの案件を得るための課題
副業としてWeb制作を始めたばかりの人が、求人サイト経由で業務委託契約を得るには、以下のような現実的な課題が存在します。
- 実務経験が問われる
- 成果物（ポートフォリオ）のクオリティが高く求められる
- 即日対応やコミュニケーションスピードが重視される
- クライアント企業との信頼関係の構築が前提
制作会社が外注する場合、クオリティや納期を守れるかが最も重要な評価基準になります。
未経験者でこれらを担保できない場合、どれだけ熱意があっても選ばれる可能性は低い。
また、求人サイトの業務委託は、あくまで「プロ」としての振る舞いや成果を前提とする世界であるため、スキルだけでなくビジネスマナーや納期意識、コミュニケーション能力も同時に試されます。
副業で業務委託を目指す場合は、「仕事をこなす」というよりも、「信頼されるパートナーになる」という視点が不可欠です。
異業種交流会での人脈営業の実態
Web制作の副業で、ネット上の活動に限界を感じた人が試してみたくなるのが、リアルな人脈づくりです。
その代表的な場が「異業種交流会」。
名刺交換会やビジネスマッチングイベントなど、さまざまな業界の人が集まる場では、直接人と出会い、仕事につながるチャンスがあるようにも見えます。
実際、そこで名刺交換をしたことがきっかけで、サイト制作の依頼につながったという話もあります。
特に、営業が得意な人や人懐っこい性格の人にとっては、自分の魅力をダイレクトに伝えられるチャンス！
と言いたいところですが、現実はそんなに甘くはない。
こうしたイベントに来る人の多くは「サービスを売りたい側」であり、本気で何かを依頼したいという人は非常に少ないのが実態のようです。
交流の数が案件につながる可能性とは？
異業種交流会を営業の場として活かすには、「回数」と「戦略」が重要になります。
1回の参加で成果を期待するのは非現実的であり、何度も参加して信頼関係を築く中で、ようやく案件につながる可能性が出てくるのです。
以下は、案件獲得につなげるためのポイントです。
- 相手の話を丁寧に聞き、信頼を築く
- 無理に売り込まず、課題のヒントを提供する姿勢を見せる
- SNSやポートフォリオサイトに誘導し、後から印象づける
- 会ったあとに継続的に関係をつなぐ（フォローアップメールなど）
つまり、「その場で売る」のではなく、「覚えてもらい、後から選ばれる」ように立ち回ることがカギとなります。
交流会は、営業が苦手な人にとってはハードルが高く感じるかもしれないですが、繰り返し参加することで少しずつ関係が深まり、長期的な信頼から仕事に発展することもあります。
人間関係に強い人には向いている手法です。
最も堅実に副業で稼ぐためのキャリア戦略
「副業でWeb制作して稼ぎたい！でも今の会社は辞めたくない」
——その気持ち、よくわかります。
副業とは「本業を持ちながら、スキマ時間で稼ぐ」手段であるはず。
でも現実には、「副業でちゃんと稼げる人」と「いつまでも案件が取れない人」の差がとても大きいのです。
じゃあ、どんな人がちゃんと稼げてるのか？
結論から言うと、一度“本業として”Web制作会社に入り、現場経験を積んだ人が副業市場でも強いです。
「え？副業したいのに本業を辞めるって本末転倒じゃない？」と思うかもしれません。
でも、これにはちゃんと理由があります。
Web制作の副業は、単なるデザインスキルだけでなく、ディレクション・クライアント対応・納期管理・仕様変更対応など、実務のカオスにも耐える力が求められます。
これを独学と副業の数時間でマスターするのは、正直、厳しい。
制作会社で数年働けば、そうした“ビジネスの現場”が自然と体に染み込みます。
逆に言えば、この現場経験がないと、副業市場では「なんか不安な人」と見なされてしまいがちなんです。
一度制作会社で修業してから副業に戻る選択
例えば、営業が苦手でも制作会社なら自然と商談に同席する場面が出てきます。
クライアントとの調整、仕様変更、ディレクターの指示、エンジニアとのやり取り……
これらを現場で“肌で感じたことがあるかどうか”が、副業として自立できるかを大きく左右します。
こんなスキルが自然と身につきます。
- 案件の流れ全体がわかる
- 見積もりや納品物の基準が身につく
- プロジェクトの回し方、コミュニケーション術が体感できる
- 何より「自信」が手に入る
だからこそ、一度フルタイムで制作会社に入って修業する。そしてその経験を土台にして再び副業へ戻る。
これは「一見遠回りに見えるけど、実は一番の近道」なのです。
「本気で副業で稼ぎたいけど、今の自分に何かが足りない」と感じているなら、一度“本職”として飛び込んでみるのも立派なキャリア戦略。
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