天堂晋助著「奇兵隊戦記」を紹介します。
奇兵隊戦記の舞台は幕末の山口県。高杉晋作が結成した奇兵隊のお話です。
著者の作品にハマって読み続け、奇兵隊戦記は6作目になります。
激しい戦のシーンや凄惨なシーンがありながらも、文面からは柔らかさが感じられるので女性にも読みやすいんですよね。
今回は「奇兵隊戦記」について感想や著者の関連書籍についてもまとめました。
天堂晋助著:奇兵隊戦記 とは?
著者のプロフィールと奇兵隊戦記について紹介していきます。
著者天堂晋助氏プロフィール
埼玉県出身で会社員をしながら執筆活動をされていました。
安原顯氏の創設した創作学校で小説を学ばれ、創作学校にて優秀賞受賞しています。
学研主催の第2回歴史群像賞で奨励賞を受賞したのをきっかけに会社員を辞め執筆活動に専念されたとのこと。
2002年の作品である「秦始皇帝と暗殺者」は、日本図書館協会選定図書となっています。
会社員から作家に転身されたのは心の中にある何かもやもやしたものを表現という形で外に出したかったからということで、今までに多くの作品を出版されています。
誰もが楽しめる小説を書くのが目標で、歴史小説に関心がない人にも面白いと思ってもらえたら嬉しいという熱い想いがあります。
創作学校時代、純文学志向だった著者は、純文学だけでは人に読んでもらうことはできない、とも思っており、アクションやスリルなどで人を引き付けて初めて作品になるのだと考えていたそうです。
作品に盛り込まれているハラハラドキドキは、そういった想いがあるからこそなのですね。
小説の舞台山口県での戦い
奇兵隊戦記の舞台は山口県です。
時代背景は江戸末期で尊王攘夷運動が起こっている頃。
ですので登場人物には高杉晋作や吉田松陰、山県有朋に伊藤博文など実在した長州藩士の有名人が出てきます。
物語のメインである奇兵隊は下関防衛を目的として結成され下関戦争や戊辰戦争で活躍。
冒頭では外国軍隊に対する臨時の軍事力という形だったのですが、最終的には幕府を相手に戦い、その活躍で尊王攘夷運動に貢献し歴史に名を残しました。
その奇兵隊のエースが奇兵隊戦記の主人公「伊助」です。
登場人物紹介
奇兵隊戦記は史実の出来事に架空の主人公が活躍しますが、架空の人物より歴史上の人物の方が多いです。
架空の人物 | 歴史上の人物 |
伊助(主人公) | 山県狂介(有朋) |
西野雅彦(奇兵隊士) | 高杉晋作 |
与平(伊助の幼なじみ) | 椋梨籐太 |
中岡 慎太郎 | |
粟屋帯刀 | |
坂本龍馬 | |
大村益次郎 |
上記の他にも伊藤俊輔(博文)などの有名人が登場します。
架空の人物と歴史上の人物が会話をする場面もありますので、本当に創作なのだろうか?と感じることもありました。
Zガンダムのカミーユ・ビダンがモデル
主人公の伊助はZガンダムのカミーユ・ビダンがモデルとなっています。
著者はずっと昔からカミーユを主人公にした歴史小説は出来ないものかと考えていたそうで、たどり着いたのが奇兵隊だったそうです。
「平凡な青年が銃を持つと、実はニュータイプだった」
ガンダムを知ってる方ならわかると思いますが、主人公が特殊能力に目覚めて進化していく過程ってワクワクして面白いですよね!
頭の中でニュータイプを意識しながら奇兵隊戦記を読むと臨場感が感じられますよ^^

原作者や公式によるとカミーユ・ビダンは史上最高のニュータイプと言われています。奇兵隊戦記の伊助の活躍を楽しんでくださいね!
奇兵隊戦記創作エピソード
奇兵隊戦記を創作するにあたり、著者天堂晋助氏は山口県に取材に行かれています。
実際に戦いがあった場所に行き、その光景をイメージされたのだとか。
繰り返しますが奇兵隊戦記は史実と創作が入り混じっており、歴史上の人物も登場します。
歴史上の人物が登場すると主人公とはいえ架空の人物がかすんでしまうため、史実のエピソードをカットしたり、主人公のキャラに厚みを持たせるなどの苦労があったようです。
何度も書き直し、完成したのはなんと10年後という超大作です!
奇兵隊戦記概要
- 著者:天堂晋助
- 本の長さ:256ページ
- kindle価格:680円(税込み)
- ペーパーバック:1650円(税込み)
- 発売日:2024年10月15日
天堂晋助著「奇兵隊戦記」の感想と評価や関連書籍について
天堂晋助著「奇兵隊戦記」はAmazonで発売中で、レビュー評価4.2と高評価です!
伊助のニュータイプにワクワク!
先述しましたが、主人公はZガンダムのカミーユ・ビダンがモデルとなっており、伊助は幕末のニュータイプです。
初めて触った銃の構造を一瞬で理解し、正確で無駄のない射撃で敵を倒していきます。
最初は普通の青年だった伊助が終盤では奇兵隊のエースになっています。
主人公が特別な能力を開花させ、圧倒的に強いというのは気持ちが良い!
ニュータイプになっていく過程や能力にワクワクしました。
ニュータイプも普通の人間
主人公の伊助は戦闘になると人間性を失ってしまい、終盤では体に異変をきたすようになっています。
上官からも「まるで殺人機械のようだ」と恐れられるほど、戦闘マシーンになってしまうんです。
ところが、そんな伊助にも限界が来たのかラストでは殺人機械とはほど遠いミスを犯してしまい、残念な結果に・・・
ニュータイプといえど人の子だったというのが伝わります。
伊助のラストはカミーユ・ビダンとは違う結末になっていますので、2人の違いを楽しんでくださいね!
天堂晋助氏の関連書籍

天堂晋助氏は奇兵隊戦記の他にも数多くの作品を出版されていて、歴史ものの他、恋愛、ホラー系などジャンルが幅広いです。
歴史冒険小説に関連する作品として
- 象の国の侍
- 悪鬼羅刹
- 西郷暗殺
- 家康暗殺
上記作品はすべて読ませて頂きましたが、どの作品も読みやすく楽しめるストーリーです。
まとめ:天堂晋助著「奇兵隊戦記」を紹介!評価や感想と関連書籍についても
天堂晋助著「奇兵隊戦記」を紹介しました。
奇兵隊という実在したチームのエースが物語の主人公(伊助)でしたが、本当に架空の人物なのか?というほど自然に溶け込んでいました。
そのうえ主人公はニュータイプですから、ワクワクがないはずがない!
ニュータイプも人の子、普通の人間なんだよと伝わってくるラストにグッときましたね。
ガンダム好きの方もそうでない方も楽しめる作品だと思います。
天堂晋助著「奇兵隊戦記」はAmazonで購入できます。
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小作農の伊助は、あるきっかけで銃を手にする。
伊助は一瞬にしてその操作法、その構造を理解する。敵の体内の様子を心に感じる。
奇兵隊に入った伊助は、その能力を生かし、優れた戦士となっていく。
藩政府軍を相手に、奇兵隊は勝利を重ねる。
たやすいことではなかった。各階級からの寄せ集めである奇兵隊は、侍への畏怖心が肌 にしみこんでいる。それは幾世代にもわたる「意識」だった。
奇兵隊創始者である高杉晋作は、それに対する何の理解も持っていなかった。
奇兵隊の強さの秘密は「散兵戦術」にあった。
各自が自分自身で判断し、進み、隠れ、撃つ。
これは吉田松陰の思想である「自主独立」を具現化したものといえた。
人間は自分自身の主人となり、誇りを持つことで、限界以上の力を引き出すことができる のだ。
やがて第二次長州征伐が行われる。
幕府軍は総勢十万の兵力で押し寄せる。それに対する長州軍の数は、わずか三千だった。